2021年4月6日
【令和3年大井町議会第1回定例会】の報告(1)

令和3年大井町議会第1回定例会

令和3年大井町議会第1回定例会が別紙【令和3年大井町議会第1回定例会】のとおり開催されました。

議案で特に注視したことを述べます。

議案第8号 大井町総合体育館条例の一部を改正する条例について

提案理由

総合体育館北側の広場の有効利用及び利用者の利便性や快適性の向上のため、条例の一部を改正しようとするものである。

審議結果

否決

この議案に対する考察

この議案「大井町総合体育館条例の一部を改正する条例について」特に注視したことについて記します。

この議案の提案理由は、「総合体育館北側の広場の有効利用及び利用者の利便性や快適性の向上のため、条例の一部を改正する。」としている。

この一部改正による効果としては、事前に議会に対し改正理由の説明も行われていなかったが、「想定される利用方法としては、キッチンカ-が乗り入れて飲食などを販売する。」との新聞報道がなされていた。

問題点

この改正の趣旨「想定される利用方法としては、キッチンカ-が乗り入れて飲食などを販売する。」は、「大井町総合体育館条例の一部を改正する条例」として改正することが適正なのか

大井町総合体育館条例第2条は、設置の趣旨を次のように規定している。

(設置) 第2条 体育及びスポーツの振興を図り、町民の心身の健全な発達に寄与するため、次の施設(以下「体育館」という。)を設置する。

この趣旨からすると、新聞報道にあるような「想定される利用方法としては、キッチンカ-が乗り入れて飲食などを販売する。」とするような営利行為は、この条例の本来の趣旨にそぐわないのではないか。

この条例は、第2条で示すとおり「体育及びスポーツの振興を図り、町民の心身の健全な発達に寄与するための施設」について、体育館に設置する施設区分に応じた使用料や利用単位等を規定しているのである。

したがって、この条例の目的から逸脱した取り扱いをするのであれば別の対応を図るべきであり、この条例の一部改正で行われるべきことではない。

広場利用を有料化することの諸課題について

  1. 広場は、この条例のに定める体育施設になり得るのか。
  2. この広場は、利用者が集合したり、利用の合間に休憩するために用意された空地なのではないか。また、総合体育館の避難経路としての役割に支障は生じないのか。
  3. 使用料の設定は、上記のような利用も原則使用料を払うことになるのではないか。
  4. 使用料を払った者以外の利用を規制するものとになり、 散歩、休憩に利用する町民の利用が規制を受けることになるのではないか。

以上のような諸課題を含んでおり、町民サービスの低下に繋がりかねないものである。

今後のあり方

行政財産の目的外使用の規定について

■大井町財産規則の規定

(行政財産の目的外使用) 第17条 課等の長は、次の各号に掲げる場合に限り、法第238条の4第4項の規定に基づき、その用途又は目的を妨げない限度において、行政財産の使用を許可することができる。  (1) 当該行政財産を利用する者のために食堂、売店その他の厚生施設を設置するとき。  (2) 学術調査、研究、教育活動、行政施策の普及その他の公益目的のために講演会、研究会、運動会等の用に短期間供するとき。  (3) 災害その他の緊急やむを得ない事態の発生により、応急施設として短期間その用に供するとき。  (4) 前各号に掲げるもののほか、課等の長が特にその必要があると認めるとき。 2 課等の長は、前項第4号の規定により使用を許可しようとするときは、あらかじめ町長の決裁を受けなければならない。 3 第1項の規定により行政財産を使用させる期間は、1年を超えることができない。ただし、更新を妨げない。 4 主管課等の長は、第1項の規定により行政財産の使用を許可するときは、当該許可を受けようとする者から、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出させなければならない。  (1) 行政財産の名称  (2) 使用の期間  (3) 使用の目的  (4) 前各号に掲げるもののほか、主管課等の長の指示する事項

■地方自治法

(行政財産の管理及び処分) 第238条の4 行政財産は、次項から第4項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない。 2 行政財産は、次に掲げる場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。  一 当該普通地方公共団体以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し、又は所有しようとする場合(当該普通地方公共団体と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において、その者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。  二 普通地方公共団体が国、他の地方公共団体又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合  三 普通地方公共団体が行政財産である土地及びその隣接地の上に当該普通地方公共団体以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付ける場合  四 行政財産のうち庁舎その他の建物及びその附帯施設並びにこれらの敷地(以下この号において「庁舎等」という。)についてその床面積又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において、当該普通地方公共団体以外の者(当該庁舎等を管理する普通地方公共団体が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。  五 行政財産である土地を国、他の地方公共団体又は政令で定める法人の経営する鉄道、道路その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地上権を設定するとき。  六 行政財産である土地を国、他の地方公共団体又は政令で定める法人の使用する電線路その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地役権を設定するとき。 3 前項第2号に掲げる場合において、当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下この項及び次項において「特定施設」という。)を当該普通地方公共団体以外の者に譲渡しようとするときは、当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けることができる。 4 前項の規定は、同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。 5 前三項の場合においては、次条第4項及び第5項の規定を準用する。 6 第1項の規定に違反する行為は、これを無効とする。 7 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。 8 前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については、借地借家法(平成3年法律第90号)の規定は、これを適用しない。 9 第7項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公 共団体の長又は委員会は、その許可を取り消すことができる。

行政財産の目的外使用の取扱いについて

行政財産の目的外使用の取扱いについては、大井町財産規則、地方自治法に規定されている。

「大井町財産規則」第17条「行政財産の目的外使用」を規定し、「 課等の長は、次の各号に掲げる場合に限り、法第238条の4第4項の規定に基づき、その用途又は目的を妨げない限度において、行政財産の使用を許可することができる。」としている。

この場合、使用料の問題が生じるので、各市町等では、別に「行政財産の目的外使用条例」を制定し整備を図っている。

したがって、職員の福利厚生、町民の利便性を考えて、この空地(広場)の活用を考えるならば、大井町総合体育館条例の一部改正ではなく、「行政財産の目的外使用」として条例等の整備を図り対応すべきものである。

このようにしておけば他に同一事例が生じた場合もこの条例をもって対応できるのではないか。

以前、一般質間で今回のような事例を想定し「行政財産の目的外使用に係る使用料条例」を整備すべきではと提案した際、その必要性を認めないと答弁されていた。この機会に、熟考されたらどうか。

また、以前の一般質問の際に「大井町財産規則法第17条に規定する第238条の4第4項」は「法第238条の4第7項」が正しいのではないか指摘しておいたが未だ訂正されていない。上記、地方自治法の規定をみればわかるはずではないか。

町民の財産である行政財産の有効活用を執行機関が積極的活用を図ることに異議はない。むしろ推奨する立場である。

しかしながら、一点を捉え対処するのではなく、今後のあり方を含め町全体の考え方を整理し進める必要がある。この意味で提言するものである。


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