2021年4月6日
【令和3年大井町議会第1回定例会】の報告(2)

【令和3年大井町議会第1回定例会】の報告(2)

令和3年大井町議会第1回定例会においては、2件の陳情が教育福祉常任委員会で審査され不採択となり、本会議においても不採択となりました。

本会議場において、行った反対討論の全文を掲載します。

陳情1

「後期高齢者医療保険の窓口2割導入の中止・撤回を求める意見書の提出について」の反対討論

本陳情の要旨は「後期高齢者医療保険の窓口2割導入の中止・撤回を求める意見書を国会に提出すること。」です。

後期高齢者医療制度は、医療保険制度を持続可能なものとしていくために、平成20年度から都道府県単位で全市町村が加入した「広域連合」が主体となり運営が行われています。

この制度は社会全体で支える仕組みとなっており、医療費のうち、自己負担分(1割割)を除いた残りの分の、約4割は現役世代からの支援金、約5割は公費=税金(国・県・市町村が負担)、約1割が後期高齢者の保険料で賄われています。この保険料については、現役世代の人数の減少を考慮して、2年に1度見直しを行っていますが、現役世代が負担する「支援金負担」は重いものとなっています。

国は「全世代型社会保障改革の方針について」(令和2年12月15日閣議決定)等を踏まえ、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」の構築を進めています。

「全ての世代の安心を構築するための給付と負担の見直し」として、 後期⾼齢者医療における窓⼝負担割合の⾒直しがあります。

令和4年度(2022年度)以降、団塊の世代が後期⾼齢者となっていくことで、後期⾼齢者⽀援⾦の急増が⾒込まれています。負担能力のある高齢者が可能な限り負担を担うことで、現役世代の保険料負担の上昇を少しでも減らしていくことが、重要な課題であり、併せて、⾼い医療費、低い収入といった後期高齢者の生活実態を踏まえ、有病率の⾼い⾼齢者には必要な医療を確保するものともしています。

国の改正案では、「2割負担の所得基準」を明確にし、実施時期は、準備期間等も考慮し、令和4年度後半(令和4年10月から令和5年3月までの各月の初日を想定)としています。

また、配慮措置については、⻑期頻回受診患者等への配慮措置として、2割負担への変更により影響が⼤きい外来患者について、施⾏後3年間、1月分の負担増を、最大でも3,000円に収まるような措置を導入しています。

以上のことから、以下図られていることを考慮すると、国の動向を注視すべきものと考えます。

・現役世代の負担軽減

・後期高齢者保険料の軽減

・2割負担のとなる場合の激減緩和措置

以上、反対討論とします。

陳情2

「加齢性難聴者の補聴器購入に公的助成を求める陳情について」の反対討論

本陳情の要旨は、

・国に対し、加齢性難聴者の補聴器購入に公的助成求める意見書を提出すること。

・特定健診の項目に「聴力検査」を入れるよう意見書を提出すること。

・ 町独自に助成制度の実施を検討すること。

です。

現行制度では、身体障害者手帳が交付されている聴覚障害等級6級以上、両耳の聴力レベル70デシベル以上の方などへは、障害者総合支援法に基づく助成制度がありますが、加齢性難聴による中度・軽度の方は対象にはなっていません。

また、独自に助成制度を実施している自治体をみると、助成の要件では、所得制限が設けられており、必要性ついては医療的判断を基準にしています。

難聴と認知症との関係を指摘されていますが現時点では明確な因果関係は示されていないようです。国立長寿医療研究センターでは、補聴器による認知機能低下予防の効果を検証するための研究が進められています。科学的な根拠が示されていない現状では、公的助成、医療保険の適用を求める意見書提出等については、時期尚早と言わざるを得ません。

しかしながら、神奈川県議会では、平成31年3月15日付「難聴者の補聴器購入への公的支援を求める意見書」をすでに国に提出しています。また、全国市長会では、昨年6月30日に同会の決議と47件の提言を全国会議員及び関係府省等に提出し、その実現方について要請しています。この提言のなか、介護保険制度に関する提言では、「加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度の創設」が盛り込まれています。全国町村会、全国町村議長会においても同様の提言がされることを期待するものであります。

以上により、今後の研究経過を見守りつつ、国などの動向を注視すべきものと考えます。

以上、反対討論とします。


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